私、科捜研の女になる!

2020.02.24 Monday

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    Mさんが塾に入ったのは中2の冬でした。

    当時は、若干の反抗期?もあり、お母さまはMさんに手を焼いていたという状況で、ご相談を受けました。


    入塾テストの結果、偏差値は42。

    定期テストでは320点くらい(平均点程度)とれていたので、この結果にはお母さまも本人もびっくり!していたのをよく覚えています。そして半ば強制的に?塾に入りました。

    ですから、心を開いてくれるまでには、少々時間を要しました。

     

     

    こういったお子さんは、あまり足を踏み込みすぎてもよくないので、基本的には私たちの本業である『授業』の中で、引きつけることを考えて接していきました。

    授業中の姿勢、ノートのとり方、字の個性には、性格による癖が出ます。

    そこで、「こうしないと気になっちゃうタイプ?」なんて言いながら、「この方が見やすくない?」など、アドバイスをしながら、距離を縮めていきました。非常に繊細なお子さんでした。

     

     

    少しずつ心が開き始めた頃、面談をしました。

    といっても、堅苦しい面談は息が詰まるので、リラックスしたものですが…。

    Mさんは堅苦しいものを想定していた(面談といわれれば当然ですね)ので、世間話たっぷりの面談は、呆気にとられたようですが気持ちが楽になったのか、Mさんは堰を切ったように話してくれました。


    「私、科捜研で働きたいんです!」


    小学生の頃からずっと思っていたそうです。

    しかし、それに対する努力をしているわけではありません。

    が、私が『チャンス!』と思ったのは言うまでもありません。夢を持つことはすばらしいことです。

    成長への一歩目を踏み出すことができます。

     

     

    そこで、次のような宿題を出しました。

     

    1、科捜研で働いている人たちはどんなスキルを持っている?

    2、そのスキルはどうすれば身につくの?
     

     

    答えをMさんは持ってきました。

    物理学、薬学、教育学、生物学、心理学など、さまざまな分野の専門知識が必要だということ、

    さらに、法医学や心理学、物理学などの大学院に進み、より深く専門分野を研究すると有利であることもわかりました。
    この時に初めて、大学受験やその先の未来を意識して高校を選択することの大切さを知ったのです。


    「大学に行って夢に近づきたい!」

     

     

    ところが、Mさんには先立つもの(学力)が足りません・・・。

     

    現実を突きつけられたMさんに、私は聞きました。


    「あきらめる? やってみる?」

     

    Mさんの答えは言わずもがなです。

     

     

    Mさんの生活は激変しました。

    放課後は学校から直接塾に来て勉強です。

    授業のない日は夕飯前までしっかり課題に取り組み、授業のある日は塾で軽く夕食を取りそのまま授業を受けました。

    家にいる時間よりも、学校と塾にいる時間が長くなりました。

    塾はMさんにとって「第2の家」になりました。

     

     

    学習姿勢にも変化が見られました。

    これまでのような「定期テスト中心」の勉強では、実力がつかないことも実感していたようです。

    授業の受け方や課題への取り組み方、復習の仕方を自分で工夫するようになりました。

    また、集中している時は声をかけても気づかないほどで、まさに「ゾーンに入って」いました。

     

     

    そうこうしているうちに、努力は結果に表れるようになりました。

    中3の秋になると、本人が『見たことの無いような成績』を出すようになって、本人も自信がついてきたのか、表情にも変化がみられるようになりました。

    さらに、友人関係も変化してきて、塾の中でも、比較的成績上位の子たちとの会話が増えていきました。

    どうやら、ノートのまとめ方や勉強方法を聞いたりもして、参考にしているようでした。

     

     

    そして向かえた2学期の期末テスト。定期テストのための勉強は一切していませんでしたが、私はなんとなく、良い結果が出るような気がしていました。

    なぜなら、『自分が今取り組むべき課題』を見つけて自主勉強をできるようになっていましたから。

     

    結果、見事な成績でした。初めて400点を優に超えて420点に届いたのです。

    これには私も驚きました。Mさんの喜んだ表情は今でも映像でよみがえるほど覚えています。

     

     

    その成功は、Mさんにさらなる自信をもたらしました。

    実力テストの偏差値も、冬には60に届くほどになり、第一志望の高校にも合格できました。

    夢に一歩近づいた瞬間です。
    努力を続けることは難しく、時に涙を流すこともありました。

    いろいろと紆余曲折があったと思いますが、それでも辛抱強く取り組んだことが勝因でしょう。

     

     

    やはり「継続は力なり」なのです。

     

     

    お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、私は、Mさんに特別なことは何もしていません。

    Mさんに関わる大人の一人として、「課題」を与え、「授業」をして、「努力の方向性」をアドバイスする。

    あたり前のことをしただけのことです。何かあるとすれば、少々の心理戦を仕掛けたくらいでしょう。
     

    心の成長が成績向上と成功への第一歩を呼び込んだのです!

     

     

     

    塾とは『勉強を教えて成績を上げてなんぼ』の世界と思われるかもしれません。

    確かに、成績が上がることは大切です。やはり「塾」ですから。

     

    しかし、それ以上に、豊かな創造力、発想力、発信力を持つ人に育ってほしいと願っています。
    人生観も価値観もそれぞれです。だから、教育を機械化はできません。

    にもかかわらず、マニュアル人間育成塾が世に溢れています。ですが、人と人との関わりの中で成長があるはずです。

    よって私たちは、お子さんに潜在している『なにかに衝き動かされる心』を刺激できれば、学力にも波及すると考えているのです。


    Mさんのように、自分で描いた夢や目標に少しずつ近づくために、小さくても「成功」と思えることを積み重ねていくことで、人は大きく成長していくものと信じています。

     

    さぁ、次はみなさんの番です!